糖原性アミノ酸とは、脱アミノ化を受けた後、炭素骨格が糖新生に用いられるアミノ酸のこと。
クエン酸回路のオキサロ酢酸から解糖系(糖新生系)を経由して、グルコースに転換されうるアミノ酸のこと。)
糖源性アミノ酸は、アラニン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン、グルタミン酸、システイン、グリシン、セリン、トレオニン、プロリンなどのことです。
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こんにちは。フスボンオーナーです。
今回はタンパク質やアミノ酸、EAA、BCAAについて深掘りしていきたいと思います。
コンビニやスーパーなどでも、ヨーグルトなどの身近な食品でも高タンパクな商品が軒並み増えており、生命活動を行う上でのタンパク質やアミノ酸を摂取することの重要性が、老若男女問わず浸透しつつあります。
また、プロテインの領域においては、これまでホエイプロテインが主力でしたが、数年前より必須アミノ酸=EAA(Essential Amino Acid)や分岐鎖アミノ酸=BCAA(Branch Chain Amino Acids)に注目が集まり、EAAやBCAAを押し出した商品が巷でも増加していることから、アミノ酸の中でも、体内で合成できない必須アミノ酸を摂ることが重要なのではないかという認識が広がってきたように思います。
そこで、食品として摂るアミノ酸20種類の説明とEAA(必須アミノ酸)だけを摂ればいいのか?などについて説明して行きたいと思います。
アミノ酸とはタンパク質を構成するユニットのことをいい、炭素(C)、酸素(O)、水素(H)に加えて窒素(N)や硫黄(S)を含む有機化合物のことを指します。
窒素を含むことがポイントで、炭素、酸素、水素に窒素を含むことでかなりのバリエーションが生まれることになります。
タンパク質を口に入れると消化酵素により、20種類のアミノ酸に分解されて、体内で筋肉やコラーゲンなどのタンパク質に再合成されます。
その20種類は、バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、リジン(リシン)、フェニルアラニン、トリプトファン、スレオニン(トレオニン)、ヒスチジン、アルギニン、グリシン、アラニン、セリン、チロシン、システイン、アスパラギン、グルタミン、プロリン、アスパラギン酸、グルタミン酸です。
前半の9つのアミノ酸は体内で合成できないアミノ酸で必須アミノ酸で、後半の11個のアミノ酸は体内で合成可能な非必須アミノ酸となります。
個別の名前を覚える必要はありませんが、体内で合成できないアミノ酸があり、食事やプロテイン、サプリなどから必ず摂取しなければならないことを知っておく必要があります。
次に、アミノ酸スコアと桶理論について説明をします。
アミノ酸スコアの定義について整理します。
上記が私なりに書いたアミノ酸スコアの式ですが、一般的には分子に、第一制限アミノ酸と書きます。
第一制限アミノ酸の定義自体が、アミノ酸スコアを計算した時に最も少なくなったアミノ酸という説明が一般的で、アミノ酸スコアという言葉の定義がループしてしまうので、上記のような表現にしました。
分母には、アミノ酸評点パターンという聞き慣れない言葉があるので、説明します。
アミノ酸評点パターン(Amino acid scoring pattern)とは、タンパク質1gあたりに占める各必須アミノ酸をどれくらい摂れば良いのかの基準値です。言葉が少しややこしいので、アミノ酸摂取の基準値と頭の中で置き換えても構いません。
具体的には、国際機関であるFAO/WHO/UNUによって定義されており、具体的には下記の数値となります。
アミノ酸評点パターン(2007年・18歳以上)・・・式の分母にくるもの
・イソロイシン ・・・30mg
・ロイシン ・・・59mg
・トリプトファン ・・・6mg
・リジン ・・・45mg
・ヒスチジン ・・・15mg
・バリン ・・・39mg
・スレオニン ・・・23mg
・含硫アミノ酸 ・・・22mg
・芳香族アミノ酸 ・・・38mg
※含硫アミノ酸とは、本来は硫黄を含むアミノ酸のことを指すが、アミノ酸評点パターンにおいては、メチオニンとシステインの合計量を指す。
芳香族アミノ酸は、本来、ベンゼン環などをもつアミノ酸のことを指すが、アミノ酸評点パターンにおいては、フェニルアラニンとチロシンの合計量を指す。
アミノ酸スコアを考える際に、アミノ酸の評点パターンは9種なので、必須アミノ酸9種に対する基準値と思いがちなのですが、必須アミノ酸以外の、含硫アミノ酸と芳香族アミノ酸の値として非必須アミノ酸のシステインとチロシンが入ってくることが少しマニアックな点です。
具体的に、アミノ酸スコアを考えてみましょう。
例えば、あるタンパク質1g中に含まれる必須アミノ酸量・・・式の分子にくるもの
が下記の値だったとします。
・イソロイシン : 60mg
・ロイシン:59mg
・トリプトファン:3mg
・リジン:15mg
・ヒスチジン:15mg
・バリン:39mg
・スレオニン:23mg
・含硫アミノ酸:11mg
・芳香族アミノ酸:19mg
アミノ酸ごとに、分子/分母の値=アミノ酸スコア(仮)を計算します。
・イソロイシン ・・・2
・ロイシン ・・・1
・トリプトファン ・・・0.5
・リジン ・・・1/3→Min
・ヒスチジン ・・・1
・バリン ・・・1
・スレオニン ・・・1
・含硫アミノ酸 ・・・0.5
・芳香族アミノ酸 ・・・0.5
この中で最小である、リジンの分子/分母の値1/3の100倍=33.3がアミノ酸スコアとなります。
言葉にすると、アミノ酸評点パターンに対して対象の食品のタンパク質1gに含まれるアミノ酸の割合で最小のものがアミノ酸スコアとなります。
上記のアミノ酸評点パターンは、18歳以上の例ですが、年齢によって基準値は変わります。
アミノ酸スコアを理解することで、アミノ酸の桶理論について容易に理解することができます。
アミノ酸の桶理論とは、食品に含まれるアミノ酸のうち評点パターンに関わるアミノ酸を、イラストのように1枚の板として桶を作り、合成できるタンパク質量を決める理論です。
卵のようにアミノ酸スコアが100の食品の場合は、摂取したアミノ酸を無駄なく活用できますが、小麦粉なのようにアミノ酸スコアが100を切っている場合、一番アミノ酸スコアが低いリジンに合わせた量しかたんぱく質が合成されず、他のアミノ酸が有効活用できないため非効率というのが、アミノ酸の桶理論の考え方となります。
ですので、なるべくアミノ酸スコアが100のものを摂取するか、食べ合わせでアミノ酸スコアを100にするような食べ方が望ましいということです。
ここで主な食品のアミノ酸スコアについて掲載しておきます。
【肉類】
・鶏肉(もも皮付き 生):100 ・鶏肝臓(生):100 ・豚肉(ロース 脂身付き 生):100 ・豚肉(ひき肉 生):100 ・和牛肉(もも皮下脂肪なし 生):100 ・馬肉(赤身肉 生):100
【魚介類】
・真アジ(皮つき 生):100 ・シロサケ(生):100 ・カツオ(春獲り/秋獲り 生):100 ・真イワシ(生):100 ・カキ(養殖 生):100 ・ホタテ貝(生):100 ・クルマエビ(養殖 生):100
【乳類】
・牛乳:100 ・ヨーグルト(全脂無糖):100
【卵類】
・鶏卵(全卵 生):100 ・うずら卵(全卵 生):100)
【穀類】
・精白米(うるち米):93 ・玄米:100 ・食パン:51 ・中華めん(生):53 ・大豆:100
【種実類】
・ごま(乾):73 ・アーモンド(乾):78
日本食品標準成分表2015年版(七訂)アミノ酸成分表編:文部科学省より引用しています
ここで一点、気をつけたいのが、大豆のアミノ酸スコアです。
1973年の基準では、大豆のアミノ酸スコアは86だったため、現在でも大豆のアミノ酸スコアを86と表記しているウェブサイトがありますが、正しくは100です。
必須アミノ酸は、最近EAA(Essential Amino Acid)という名前でプロテインのようにたくさん商品化されています。
まずは、BCAAとEAAがごっちゃになっている人のために、分岐鎖アミノ酸=BCAA(Branch Chain Amino Acids)から説明します。
BCAAは、必須アミノ酸のうち、バリン、ロイシン、イソロイシンの3種類の事をいいます。
必須アミノ酸の中でも、BCAAが注目されている理由は、BCAAが筋肉中のアミノ酸のうち約40%を占めていて、運動中のエネルギーとしても利用されるなど、スポーツや運動に関係が深いアミノ酸のため、アスリートをはじめジムでワークアウトをする人などにとって高パフォーマンスを出すのに必要な栄養素と認識されているからです。
運動をすると筋肉の分解が起こりますが、BCAAを摂取すると運動後の筋肉の分解が抑えられ、筋肉を作ることが知られています。
また、運動による筋肉痛や筋肉のダメージを軽減することも分かっています。
EAAは、必須アミノ酸で体内で合成できず、他の非必須アミノ酸は体内で合成できることから、必須アミノ酸だけを摂る方が効率がいいのではないかと考える人が多いため沢山の商品が発売されていると思われますが、果たしてEAAの方がプロテインより効率がいいのでしょうか。
食事からのタンパク質の摂取を控えて、EAAだけの摂取を増やせば、アミノ酸とα-ケト酸のアミノ基転移反応で必要なPLP(ピリドキサールリン酸・ビタミンB6のリン酸化体)が増加し、ビタミンB6が欠乏することになります。
ビタミンB6の不足は、けいれんやむくみ、湿疹、口角炎、舌炎、脂漏性皮膚炎、 貧血、麻痺性発作、聴覚過敏、脳波異常、免疫力低下などを起こす可能性があります。
また、ビタミンB6は、GABAやドーパミン、セロトニンが作られる際にも必要な栄養素で、不足すると、うつや睡眠障害が起きたりします。 以上のように、EAAだけの過剰な摂取は、身体の不調、精神疾患を引き起こす可能性があるため注意が必要です。
また、EAAには、糖源性アミノ酸が多く含まれているため、糖尿病などインスリン抵抗性がある人は、糖新生が進み、血糖値が上がることも起こります。
糖源性アミノ酸とは?
糖原性アミノ酸とは、脱アミノ化を受けた後、炭素骨格が糖新生に用いられるアミノ酸のこと。
クエン酸回路のオキサロ酢酸から解糖系(糖新生系)を経由して、グルコースに転換されうるアミノ酸のこと。)
糖源性アミノ酸は、アラニン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン、グルタミン酸、システイン、グリシン、セリン、トレオニン、プロリンなどのことです。
インスリン抵抗性があるのとないのどっちがいいの?について
インスリン抵抗性のありなしについて、あるほうがいいのか、ないほうがいいのかよく分からなくなりませんか? ここで再確認しておきます。
体の中のいろんな細胞の表面にはインスリン受容体があり、インスリンがこの受容体に結合することで、細胞は血液中のブドウ糖をとりこみ、エネルギー源として利用します。
インスリン抵抗性があるとは、このインスリン受容体がインスリンに慣れてしまって感受性が低下し、細胞にブドウ糖を取り込みにくい状態を指します。
つまりは、インスリン抵抗性がないのが健康な状態です。
例えは少し良くないですが、殺虫剤に抵抗性がある虫は、殺虫剤に慣れてしまって、もう殺虫剤が効かないことを指しますよね。
あるいは、オオカミ少年が、オオカミが来たぞと毎日のように言うと、オオカミが来たという知らせに対して抵抗ができてしまって、本当にオオカミが来た時に対処が出来ず一大事です。
それと同じで、人にとっては「抵抗性がないほうが普通・都合がいい」と覚えましょう。
上記のような理由から、EAAだけの過剰摂取は、セロトニン不足、ドーパミン過剰、ノルアドレナリン過剰に繋がり、躁状態、うつ状態を引き起こすリスクが高まります。
非必須アミノ酸も、代謝や身体の機能を維持するためには必須で、裏返せば人体にとって必須であるがゆえに、進化の過程で身体中で作れるようになったとも考えられます。また、病体時や体調変調時においては、非必須アミノ酸の摂取が重要であるとする研究もいくつかあります。
アミノ酸は、なるべくタンパク質の食事から摂取し、分解と代謝でアミノ酸を摂取するようにすべきだと考えます。
一方で、タンパク質を消化するための酵素もアミノ酸を元に作られるため、もともとタンパク質やアミノ酸の摂取量が不足している人は、タンパク質やプロテインを摂ると消化がうまくいかず、ムカムカして吐いてしまうというケースがあります。
そういった時にEAAや出汁からアミノ酸を摂取して、消化酵素を育ててからタンパク質を摂れる状態にするなど補助的な使い方が一番いいと私は考えます。
プロテインやアミノ酸を上手に使いながら、タンパク質が不足しない食生活を続けてください。
High protein
大豆のアミノ酸スコアはいくつですか?
1973年の基準では、大豆のアミノ酸スコアは86だったため、現在でも大豆のアミノ酸スコアを86と表記しているウェブサイトがありますが、正しくは100です。
必須アミノ酸だけを摂るのが結局効率的ですか?
EAAだけの過剰摂取は、セロトニン不足、ドーパミン過剰、ノルアドレナリン過剰に繋がり、躁状態、うつ状態を引き起こすリスクがあります。
アミノ酸は、なるべくタンパク質の食事から摂取し、分解と代謝でアミノ酸を摂取するようにしましょう。
EAA、BCAAとは何ですか?
EAA(Essential Amino Acid)は必須アミノ酸のことを指します。
BCAA(Branch Chain Amino Acids)は、必須アミノ酸の分鎖岐アミノ酸であるバリン、ロイシン、イソロイシンの3種類の事をいいます。
著者プロフィール
フスボンオーナー
川谷 洋史
HIROSHI KAWATANI
1980年・大阪生まれ
東京工業大学・工学部・建築学科卒
一級建築士
2012年ごろより糖質制限にハマり、低糖質で無添加、良質な脂質、人工甘味料を使用しないパンやスイーツがないことから、自作を始める。
2014年9月にフスボンを立ち上げ現在に至る。
趣味
食べること、スポーツ観戦、サウナ、ゴルフ、YouTubeを観る
マイブーム
糖質制限×サウナ×オーソモレキュラー