糖質制限でよく使われる論文や研究シリーズ②ー血糖値の変動が及ぼす血管内皮細胞の死

糖質制限でよく使われる論文や研究シリーズ②ー血糖値の変動が及ぼす血管内皮細胞の死

こんにちは!フスボンオーナーです。

今回は、糖質制限でよく使われる論文シリーズ第2弾となります。イタリアのウディネ大学の研究で、論文のタイトルが 「Intermittent high glucose enhances apoptosis in human umbilical vein endothelial cells in culture」です。
タイトルを直訳すると、「断続的に高血糖の状態が続くと、臍静脈内皮細胞の細胞死をもたらす」という意味になります。

この論文は、血管内皮細胞を「通常の血糖値」、「高血糖」、「通常と高血糖を交互に浸す」という3つの環境下で時系列でどれくらいの割合で細胞が死ぬかという実験を行いました。

血糖値の変動が少ない方が細胞の死滅は少ない

血糖値の変動が血管の内皮細胞に及ぼす影響
血糖値の変動が血管の内皮細胞に及ぼす影響

グラフにもある通り、時間経過と共に通常血糖値でも、細胞は死滅します。
7日後は、高血糖にずっと浸した細胞よりも通常血糖と高血糖を交互に浸した方が、1週間後では8パーセントくらい細胞の死滅した割合が多いという結果が出ています。

14日後では、その差が20パーセント弱にまで広がっていることが分かります。
私個人的に意外だったのは、ずっと高血糖の状態よりも、血糖値が上下する方が、細胞の死滅する割合が高かったことです。
これでは、インスリンで血糖値を下げる意味がもはや分からなくなってきます。

また論文のタイトルが高血糖状態が臍静脈内皮細胞の細胞死を強めるとあるので、これも少しタイトルと内容があっていないように個人的には感じました。

食後の高血糖が糖尿病をはじめとしたあらゆる疾患の入り口

メタボリックドミノ
メタボリックドミノ

伊藤 裕 メタボリックドミノとは 生活習慣病の新しいとらえ方(解説)
日本臨床(0047-1852)61巻10号 Page1837-1843(2003.10)より引用しています。

糖尿病の診断にはヘモグロビンA1cが6%を超えていたり、空腹時血糖値が110mg/dlの場合に糖尿病と判断されます。

糖尿病の患者の血糖値を過去に遡ってみてみると、空腹時血糖値の異常が認められるのは、糖尿病と診断される数年前ですが、食後血糖値の異常は糖尿病が発症する10年くらい前に生じます。
伊藤裕先生のメタボリックドミノにあるように、食後の高血糖はあらゆる万病の元となっているという研究がありますので、普段から糖質の摂りすぎには気をつけて食後の血糖値に異常が出ないように気をつけましょう。

定期的な血液検査と合わせて食後の血糖値の測定も

血液検査では、ヘモグロビンA1cや採血時の血糖時しか分かりません。

アボット社の血糖値の測定器など自宅で血糖値を気軽に測定出来る機器も販売されていますので、食後の血糖値も定期的に測定することをおすすめします。では、また!

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  • 川谷 洋史

    1980年12月・大阪生まれ。 東京工業大学・工学部・建築学科卒。一級建築士。
    2012年ごろより糖質制限にハマり、低糖質で無添加、良質な脂質、人工甘味料を使用しないパンやスイーツがないことから、自作を始める。
    2014年9月にフスボンを立ち上げ現在に至る。
    趣味
    食べること、スポーツ観戦、サウナ、ゴルフ、ゲーム、登山、Youtube
    マイブーム
    糖質制限×サウナ×オーソモレキュラー
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