こんばんは!フスボンオーナーです。 今日は、動的平衡の観点から、糖質制限とカロリー制限の違いについて書きたいと思います。
生物と無生物のあいだを読んで糖質制限とカロリー制限の違いの理解を深める
私は、福岡伸一さんの「生物と無生物のあいだ」というベストセラーを読んで以来すっかり福岡伸一さんのファンになりました。
少し専門的な記述もありますが、小説を読むかのような文体が福岡さん独自の世界観があって読みやすいので、読んだことがない方にはとってもオススメの本です。
それ以来、福岡さんの本をたくさん読んでいますが、動的平衡の概念を理解することは、糖質制限とカロリー制限の違いを理解する上でも基本となり、役立つと思います。
動的平衡とは?生物と機械(無生物)の違い
動的平衡について簡単に説明します。
福岡さんは、生物と無生物の境界線を、動的に平衡であるかないかということで定義しておられます。
動的平衡という言葉は、難しいのですが、内容はそこまで難しくありません。
よく福岡さんが使われる例えで、鴨長明の「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」という有名な詩があります。
川の形の見た目は同じでも、そこにある水は、常に違う水だということです。
人間の身体も同じです。大人の体は川の流れのように、3ヶ月前と今を見比べた時に、見た目はあまり変わりませんが、実は中身は食べ物とかなり入れ替わっています。
このように、常に分子や原子レベルで外から取り入れたものと入れ替わりながらも、その見た目の状態を維持してる状態を動的平衡と考えてもらっていいでしょう。
さらに理解を深めるために事例を考えます。
福岡先生は、生物と無生物の違いを「車」と「生物」を比較して、説明されています。
車はガソリンを燃焼して走りますが、ガソリン自体が車のハンドルやボディとなることはありません。
単にガソリンが燃焼して、ピストンを動かしてエネルギーを生み出しているだけです。
逆に、生物が食べ物を食べると、その食べ物が分解され代謝により身体の一部になります。その点が、生物と無生物を分けるというわけです。
車のように、パーツにより成り立っているものを機械、各パーツごとが相互に作用しあっているものが生物とも言えます。
摂取カロリーと消費カロリーばかりを、気にして食べていると、車のように食べ物を単にエネルギーやカロリーを摂るものと考えがちです。そこに大きな誤りがあります。
カロリーに重きを置いて議論することは、生物を機械論的に捉えてしまっているとも言えます。
カロリーにとらわれない
これまでラベルの裏のカロリーを必死に気にして来た方も多いと思います(かつての私もそうでした)。
カロリーの定義は実験室において、糖質やタンパク質を1g燃やした時には、4kcal、脂質を燃やした時には、9kcal発生することから、単純に糖質量、タンパク質量、脂質量を求めた後に、簡易的にカロリーを計算したものにすぎず、体内で起きている代謝や化学反応によるエネルギーのやりとりとは関係がありません。
ですので、「食べたものによるカロリー」と「基礎代謝+運動によるカロリー」の不等式で太る痩せるが決まるかのように洗脳されて来ましたが、実際はもっと複雑な代謝を理解しなければいけないということです。
上の不等式は、とてもシンプルで簡単で、誰でも理解しやすいので、低カロリーにすれば痩せられるという刷り込みの元、低カロリー商品がこれまでたくさん出てきました。
これまでの巷の低カロリー商品の大半は、脂肪を減らして低カロリーにしていいたり、タンパク質も少ないことも多く、筋肉などの身体作りには役に立たない一方で、糖質がたくさん含まれていることが多いので、体内の脂肪が使われずに脂肪が増え、一向に痩せないのです。
また、カロリーを制限すると、量が食べれないことに加え、必須脂肪酸や必須アミノ酸やビタミン、ミネラルなどの栄養がないので、疲れやすく続かないのです。
何を食べるか何が足りないかを理解し、糖質制限とカロリー制限の違いを知る
代謝を理解することは、食べ物やサプリを判断する上でも役にたちます。
例えば、お肌の張りを維持する成分がコラーゲンだと聞いた途端に、コラーゲンのサプリを飲む人が多いですが、これは果たして意味のある正しい行為でしょうか。
一見、正しいかのように思いますが、コラーゲンは、消化器官でアミノ酸まで分解されて、体内でコラーゲンとして一部再合成されます。
つまりコラーゲンでなくとも、タンパク質やアミノ酸から必須アミノ酸をきちんと摂取できていれば、必要なコラーゲンは合成されるわけです。
膝の軟骨に含まれるグルコサミンやコンドロイチンの話も同じです。
グルコサミンを合成するためにグルコサミンを摂取しても、口から飲んだグルコサミンが膝軟骨のグルコサミンに移動しません。
次に、骨の強化のためにカルシウムを摂る場合は、どうでしょうか。これは、カルシウムを含む食べ物がある程度限られているという点と、カルシウムは、それ以上分解できない最小単位の原子になります。
なので、カルシウムを摂取することは、骨の強化につながります。ちなみに、ビタミンDをカルシウムと一緒に摂るとカルシウムの吸収がよくなるので、カルシウムサプリにはビタミンD配合のものが多いです。
こう聞くと、カルシウムをたくさん摂る方がいいと思われがちなのですが、カルシウムは四十肩や五十肩、尿路結石など体内の石灰化による病気の元になるため、実は摂りすぎてもよくありません。食品から摂るくらいでちょうどよいです。
では、どうするのが一番良いのでしょうか?
タンパク質を摂取するとリンや硫黄など、体液を酸性に傾かせる代謝物が発生するので、それらを中和するために、水に溶けるとアルカリ性を示すカルシウムが必要となるため、骨からカルシウムが溶け出す作用があります。
これらを予防するには、カルシウムと同じアルカリ金属であるマグネシウムを摂取することで、カルシウムの体液中への溶け出しを防ぐことができ、骨粗鬆症の予防にもなります。
このように、骨からカルシウムを溶け出すのを防ぐため(ある意味でのカルシウム不足を防ぐため)にマグネシウムを摂るという間接的なサプリの摂取の必要性も代謝を考えることでわかってきます。
さらに、糖質はどうでしょうか。糖は酵素により分解されて、グルコースという最小単位まで分解されます。
そこから、解糖系と言われる回路でATPというエネルギーを産み出し、さらにそこからクエン酸回路を通じてATPを作り出しますが、余るとグリコーゲンとして肝臓や筋肉に貯蔵され、さらに過剰に摂取すると中性脂肪として体内に蓄積されます。
砂糖と脂肪は見た目はまるっきり違いますが、砂糖が分解、再合成される中で脂肪になるわけです。
最後に脂肪はどうでしょうか。
脂肪は、そのまま脂肪になると考えられていますが、脂肪もグリセロールと3つの脂肪酸に分解され、エネルギーが過剰でなければ消費されます。
過剰に摂取した場合は、脂肪として蓄積されますが、これも脂肪がそのまま脂肪になるわけではなく、脂肪が分解されて再合成されて脂肪となるわけです。
牛は、脂肪を食べて脂肪を蓄えるのなるのではなく、とうもろこしなどの糖質たっぷりの穀物の飼料をたくさん食べて運動をせずに、脂肪をたくさん蓄えます。
糖質の低い牧草だけを食べて歩き回っている牛は赤身の多い牛になります。
牧草をたくさん食べている牛の脂肪には、オメガ3が含まれます。
青魚の脂肪にオメガ3が多く含まれていることは皆さんご存知だと思いますが、それは青魚が植物性のプランクトンをたくさん食べているからです。
まとめ
以上のように、食べる物質がどのように分解され、吸収されるのかを考えるだけで、何を食べるべきかを決めるのに役立ちます。
もちろん頭の中で考えてばかりでは楽しくないので、美味しいものを食べるというのが、大前提です。
糖質制限は、カロリーはきちんと摂取し必要以上にカロリー制限をしないため、満足感を得られるため、続けることが出来ます。
また、砂糖の甘みを脂の甘みで補うことができることもメリットです。
脂質には、種類があり、身体に蓄えた脂質を代謝するにはどのような、ビタミン、ミネラルが必要なのか、積極的に摂るべき脂と控えた方がいい脂は何なのかを考えることで脂へのイメージは一新できます。
代謝を少し理解することで、食べるものへの考え方が180度変わるので、ダイエット=食べないことと考えないで、たくさん美味しく食べて、楽しくダイエットしましょう。
では、また!